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深夜の60分小説02

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毎日Twitterに投稿している短いお話です。

お題はこちらのアカウントから毎晩20:00に発表されます。

03「人間の闇」「一つの真実」「過去」

小さい頃母親を殺して暗殺集団に入り今に至る。あの殺人が初めてにして最悪の殺人だった。人間の闇の部分がにじみ出ているというか……思い出したくない過去だ。
暗殺集団には、ひとつだけ絶対に破ってはならない掟がある。それは同胞の殺害である。もし破れば命はないだろう。
団長から話があるというので、今自室で待っているところだが……
扉が開く。団長の顔を見るのは初めてなので少し緊張する。
「やあ、ジャックくん。君に大切な話があるんだ。聞いてくれるかな」
「……親父!?」
「覚えていてくれて嬉しいよ。もっとも、これで最後になるんだがね」
「実は君は、掟を破ってしまっているんだ。もう何年も前にね」
「……!?お、俺がなにをしたと?」
「とぼけるんじゃない、君は何もかも覚えているだろう、真実はごまかせないぞ」

「子供の頃、実の母親を殺しただろう?」

父親が暗に示したたった一つの真実。
両親ともに暗殺集団の一員で、俺は殺してしまったのだ。

04「シンナー」「スナック菓子」「片想い」

昔片想いしていた男性の訃報が飛び込んできた。あまりにも早い死だったので死因を聞いてみたら、シンナー中毒だという。
道端でいきなり血を吹き出して死んだらしい。
薬物によって得られる快楽はスナック菓子何かとは比べ物にならない。
「あいつも私と素直に付き合っていればこんな事にならなかったのにね」
病院から自室へ戻り、私はシンナーの容器とポリ袋を取り出しほくそ笑んだ……

05「雪」「栞」「波」

鯨の作る荒波に呑まれるところで栞をはさむ。
降りしきる雪で外は一面真っ白で、少しも様子をうかがうことができない。本の続きが気になるところだが、今はそんな流暢なことは言っていられない。なんとかしなくては……
「さて、どうしたものかな」
一刻も早くここから出なくては、次の日にはどうなっているかわからない。
鯨の腹から出なくては……!