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深夜の60分小説03

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06「破壊」「怒り」「嘆き」

かつて破壊の限りを尽くした古代の龍たちも、今では息を潜め、ただ地中から顔を出すのみとなっている。
もし人類が互いの怒りにまかせていけば、これもまた龍のように滅びゆくのだろうか。
しかしそんなことを嘆こうが、自分の代では人類は絶滅しないだろう……
いつの時代の人間もみな同じことを考え資源問題についても真面目に考えようとはしなかったが、果たして我々はどうあるべきであろう。
そろそろ変わってみてもいい頃合いではなかろうか。さもなくば輪廻転生の先にある自分の姿はどうなっていることか想像もつかぬ。

07「時計」「クリスマス」「嫉妬」

12月24日23時57分。去年姉はサンタクロースを見たと言っていた。今年こそは僕だって見てやるんだと毎年張り切ってはいるが、会う前にいつも寝落ちしてしまう。
時計を見ながら時間が過ぎるのをひたすら待つ。
こんなに面白くないクリスマスもないだろうが、姉だけサンタクロースを見たというのはどうも気に食わないのだ。これが嫉妬というやつだろうか……
いつも姉ばかりずるい。去年は遅くまで起きていたら母親に早く寝なさいと本気で怒られたし。
弟というのはいつも不憫なものなのだ。
「朝よ〜、起きなさい」
またしても睡魔にやられた!何年もサンタクロースとの対面を望んでいるのに今年も逃してしまうとは!
サンタクロース、謎多き人物だ。催眠ガスでも撒きながらプレゼントを配っているというのだろうか……

08「キラキラ星」「河川敷」「一人の少女」

夕刻、近所の河川敷をいつものように散歩していると、見知らぬ一人の少女が散歩道の途中で空を見上げつつ絵を書いているのが見えた。
「きれいな絵だね。ここの空を描いてるの?」
「うん、もうすぐこんなに星が出てくるの。それが綺麗だから、夜まで待てなくて、フライング」
少女は一人、「きらきら星」を口ずさみつつ絵を書き進める。もうすぐ花開く夜空を思い浮かべながら。
結局、現実に花開く前に、絵を書き終えていた。右下に小さく「キラキラ星」と書かれている。
ああ、少女っ……
「きらきら星」は……
ひらがなだぞ……